令和3年高岡市歯科医師会・薬剤師会合同学術講演会

 

令和3年3月20日(祝)10:00より

高岡市生涯学習センター 503研修室

 

演題

知っておきたい!

高齢者の口腔と「食べる力」の変化

~歯科と薬剤からのアプローチ~

演者 公立能登総合病院 歯科口腔外科 長谷 剛志先生

 

高岡医療圏の摂食・嚥下に携わる医療関係者に対し、高齢者の「食」にどう向き合うべきかの基礎知識のアップデートのため、高齢者の口腔生理、廃用、留意点などを、今回は薬剤からの視点で長谷先生にご講演いただきました。

人間の「食べる」には特性と限界があり、その「食べる力」の低下している方の置かれている状態を把握、観察を行い、多職種で取り組みの標準を合わせる必要がある。

このコロナ禍の感染予防に使用されるマスク。マスク口に伴う、開口、口呼吸、発声機能抑制。口腔機能低下に伴う唾液分泌低下による口腔乾燥が診られ、口腔廃用につながる可能性が示唆された。オーラルフレイルが、身体的フレイルにつながり、社会的フレイルに移行することは既知のことであるが、60代の咀嚼良好者の割合は現在73,4%であるが、健康21日本では、2022年には80%超を目指している。

老人の唾液内のムチン成分の変化、耳下腺委縮による漿液性唾液量の低下により、ねばつき、不快症状の原因となる。また誤嚥性肺炎の3大リスクは、嚥下反射の低下、咳反射の低下、気管支粘膜線毛運動の低下である。

口喝、食塊形成、嚥下機能低下にある「食べる力」が低下した高齢者は、口腔に薬剤残留、停滞傾向にあり、食支援とともに服薬指導が必須、急務である。厚労省の高齢者の医薬品適正使用の指針では、歯科衛生士は「口腔内環境や嚥下機能を確認し、薬剤を内服できるかどうか(剤形、服用方法)、また薬物有害事象としての嚥下運動低下等の確認を行う必要がとあるとされている。

生活という字は、「生」、生命の維持と、「活」舌を使い、人間として活き活きとして活動できることである。口から食べること「食」のサポートはとても重要である。

今回も大変有意義な内容の講演にて、引き続き長谷剛志先生には定期的にご教授の機会をいただければと思いました。「食」に携わる歯科医師として、口腔、摂食嚥下について常に知識をアップデートする必要性を感じました。   

高岡市学術 阿部 一雄